くりたのブログ
鰻豆腐。
お写真、とあるお料理の製作過程の、一コマ。
料理の名は、「鰻豆腐(うどうふ)」。
焼き豆腐の間に鰻のつけ焼きを挟んで炊いたものに、
春のはしりの頃に出だす、新のえんどう豆のからんだ葛のあんを、
上からとろっとおかけする、というおひとしなが、
店では、春の初め頃の定番!
毎年楽しみにして下さっている方も多い、おひとしな、なのです。
写真は、豆腐の間に焼いた鰻を挟んで準備したものを、
これからまさに炊き汁でコトコト炊き始めるぞ、という工程。
でもこれに至るまでに、
まずは、鰻をタレでつけ焼きにする、ところから始まって、
次にお豆腐に焦げ目をつけて、焼き豆腐をこしらえて、、、、と、
準備をいくつか経て、のこの時点。
この写真のところでも、まだ道半ば(笑)なんですよねー。
ここからさらに丁寧に、じっくりと、時間をかけ、
仕上げへと進んでいきます。
この「鰻豆腐」。
鰻の旨味がお豆腐にしみ込んで、
なんとも言えん旨い、美味い、組み合わせ、なのですが、
このお料理の起源、元々は「まかない」の料理にあると言われています。
鰻のつけ焼き(いわゆる、蒲焼きですね)といえば、
関西では一匹まるごと!焼くというのが一般的。
(関東では、幅に切って「蒸してから」焼く、蒸し焼きが一般的どすね)
頭も尻尾もつけたまま、つけ焼きにするので、
真ん中の見栄えのよい身の部分はお客様にお出しする、と、
頭と尾は(→その部分のことを、半助(はんすけ)と言います)残ってしまう!
ということになるんです。
そうすると、自ずとその半助は、
「まかない」へと二次利用、
美味しい鰻の頭と尾、しかも身の部分と同じ様につけ焼きにして仕上げてあるので、
味は良いに決まっている!
でも如何せん、骨が多くて身が少ない、
ならば、じっくり骨までやらかく炊く様にして、
しかもそれに合わせて、
その旨味がしゅむ(→しみ込む)ような「何か」と一緒に炊き合わせれば、、、、
、、、ということで、
されるようになったのが、このj組み合わせなんだと、
言われております。
元々はまかないが始まりだとの話のある鰻豆腐、なんですが、
それがあんまりにも、あんまりにも美味しい!ということで、
ならば、お客様にお出しできるお料理にしよう!と、
鰻も「半助」ではなく身の部分を使用して、
きちっと体裁も整えて、お出しできる形に仕上がった、というのが、
この「鰻豆腐」なんですねー。
なんでもないようでありながら、
これ、絶妙の、組み合わせ。
とことんしっくり、お互いが溶け込む様に、
実にうまく馴染んで、口の中に入ってきます。
店では、そこにさらに新のえんどう豆のあんをおかけしたものをおだしするのですが、
そのマッチングも、たまらない!!!
ほのかな豆の甘味、あんの程よい温かさ、
土台には、鰻豆腐の心地の良い、美味しさ。
今の季節感に、ぴたっと、くるような、感じなんです!
鰻豆腐、これからしばらく、
お献立に登場予定です。
皆様、是非にーーーーー!
ことこと、じっくり。
鰻を焼いた時の甘辛いお加減が、
お豆腐に、とことん沁み込みます。
美味いんだな、これが!